EHアンテナ
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EHアンテナについて
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EHアンテナの本質はよく分かりませんが、シリンダ間のキャパシタとチューニングコイルとで共振させて
リアクタンス成分を打ち消し、シリンダの電圧とシリンダ間を流れる高周波電流を同相にし無効電力
を発生させないことがEHアンテナの要件だと思っています。
アンテナ素子、すなわち2つのシリンダ(キャパシタ)間を流れる高周波電流が電波となると解釈し、
EHアンテナの構成を大幅に単純化したところ、特性も素直になり、何となく理解し易くなりました。
以下に原型EHアンテナと単純化したEHアンテナを比較して紹介します。
(2004.10.20)
図 1 は原型EHアンテナですが、共振回路のキャパシティを形成している下側のシリンダは給電
同軸ケーブルの外被線と直接接続されているので、共振回路のキャパシティは上側シリンダと
下側シリンダに加えて、同軸ケーブル外被線および同軸ケーブルに接続される無線機器や大地
ですから、それらの状態が変われば共振周波数も整合条件も変化します。
また、チューニングコイルのホットエンド部分が下側のシリンダ脇を走っています。
これは、本来2つのシリンダキャパシタ間にのみ流れて欲しい高周波共振電流が、上側シリンダへ
接続する脇線と下側シリンダ間にも流れて、電波となる高周波電流が、きれいには整って流れません。
図2は単純化したEHアンテナです。
両シリンダの中間にチューニングコイルを配置し、チューニングコイルの中央部から給電します。
すなわち共振回路の両ホットエンドはシリンダのみであり、そして対称になっています。
こうすることでフェージングコイルは不要ですし、共振高周波電流は両シリンダ間にきれいに整って
流れ、給電同軸ケーブル等は無関係になります。
そのため当然のことながら、同軸ケーブルの長さや接続機器等の状態には影響されなくなります。
さらに、ヘルツアンテナのようにシリンダ導体に流れる電流に起因する放射をキャンセルするために、
シリンダの端からでなくシリンダの中点に接続します。
チューニングコイルはシリンダと同芯軸でなく直角に配置する方がシリンダによるショートリング効果が
避けられるのでQが高くできます。Qが高い方が放射効率は高いはずですが当然帯域幅は狭くなります。
原型EHアンテナは第1図で示すように両シリンダ間だけでなく同軸ケーブルの外被線や対地との間にも
共振電流が流れます。そして、これらシリンダ以外に流れる共振電流は距離が長いので位相差があり、
EHアンテナとしてはなじまないものです。
一方、図2の場合は、波長と比べて極端に短い両シリンダ間にのみ共振電流が流れるため、
同軸ケーブルの長さなどに影響されないだけでなく、位相差のある電流がないので純粋な
EH電波となると考えられます。
(言い換えれば、位相差が無視できるほどシリンダ長が短いことがEHアンテナの要件であると考えられます)
この図ではシリンダを上下でなく左右にしていますが、もちろん上下にしてもOKですが、同軸ケーブルは、
500mm以上は真横に引き出してから下に下げます。
図2では、コモンモードフィルタが入っていますが、これは必ずしも必要ありません。
フィーダーの影響はなく、コモンモードフィルタを入れても入れなくても共振周波数やマッチングの状態は
変わりませんが、入れて害になることはないはずです。
( 実際に作成したEHアンテナについては、月刊誌CQ ham radio 2004年11月号に掲載されています )